新宿御苑の出会い


会社員時代。
休みの日に出勤すると、代わりの休みの日がもらえた。

平日の休みというのは、贅沢な気分になれる。
なぜならみんな働いてる時間にだらだらできるからだ。
もちろん、みんなが休んでいるときに働いていたのだけど。

平日の休みのいいところは、施設が混まないことだ。
休日行くと激混みなところも、平日であれば人もまばらだ。

私は映画を見るのが好きで、新宿のバルト9をたびたび訪れた。
平日の昼間はとても空いていて過ごしやすい。

ある日見た映画は、たまたま隣にある新宿御苑が舞台になっているものだった。
とても楽しかったので、そのまま流れで御苑へと向かった。
時間はお昼。
園内は空いていて、たまにベンチで制服を着たOLさんがお弁当を食べていた。
きっとああいう方は、年間パスポートをもっているのだろう。
なんか、いいなあなんて思いながら、メイン舞台となった日本庭園へと向かった。

映画は、そこで靴職人を目指す高校生と、謎の綺麗な女性が出会う物語だった。
女性は本を読んでいるのだけど、俺が行った時もそこに本を読んでいる人がいた。
これは運命かと思った。
俺はおもむろにクロッキー帳を取り出し靴の絵を描き始めた。

あの映画の再現である。

映画では男の子が消しゴムを落とし、女性が拾うところから物語が進んでいく。
「私も消しゴムを落としてみるか?」
と、ふと思った。
面白い展開が待っているかもしれない。
相手も映画を見て、その再現で本を読んでいるのかもしれない。
消しゴムを待っているのかもしれない!!

しかし、当方は男。
本を読んでいるのも男だったので、やめておくことにした。





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